【JMRCA1/10電動オフロードカー全日本選手権】2006年9月8日レポート
【JMRCA1/10電動オフロードカー全日本選手権】 2006年9月8日(金)?10日(日)
来年、2007年度に石川県で開催される、IFMAR電動オフロード世界選手権の前哨戦となる「プレワールド」を兼ねて開催された、JMRCA全日本選手権に参加しました。
ツーリングカーの世界選手権から帰国して間もない時期であったこともあり、エントリーは2WDクラスをキャンセルし、4WDクラスのみに絞りました。コントロールプラクティスでは、アメリカから来日した、チームヨコモのビリー・イーストン選手がトップタイムをマーク、広坂が2番手のタイムを出し、順調なスタートを切りましたが、その後はうまくかみ合わず、予選は8番グリッドという過去最低のポジションとなってしまいました。残念ながら決勝は雨で中止となり、あっけなく終了してしまいました。
☆4WDクラス (決勝は雨で中止。予選の順位で決定。予選順位は、3R中ベスト2Rの合計ポイントで決定した)
1位 松崎隼人 / HB / 254ポイント
2位 前住諭 / TAMIYA / 250ポイント
3位 吉岡大輔 / HB / 250ポイント
4位 鈴木伸一 / TAMIYA / 247ポイント
5位 Billy Easton / YOKOMO BX / 245ポイント
6位 足立伸之介 /KYOSHO / 243ポイント
7位 三瓶達也 / KYOSHO / 243ポイント
8位 広坂正美 / YOKOMO BX / 242ポイント
9位 秋元宏太 / KYOSHO / 241ポイント
10位 河島良寛 / YOKOMO BX / 239ポイント
以下は、RCワールド2006年11月号に掲載された「Keep RUNNING vol.07」を転記したものです(text/大道智洋)。
タイトル:全日本8位。その理由と意味
広坂が一里野で行われた1/10オフロードカー全日本選手権を終えて東京に戻った某日。今回のレコーディングのため、広坂のもとを訪問した。本誌の全日本取材班からの速報で広坂が8位でレースを終えたことは事前に知っていたが、本音を言ってしまうと、やはりそうか…、という感想があった。
理由はいくつかあったが、まず第一にこれまでレース前の広坂と接する時に感じた、勝利を渇望する空気感とでも呼ぶべき圧迫感にも似た気迫がいつもほど感じられなかったということ。第二にツーリング世界戦で準備期間を含めて1年以上にわたるハイテンションなレーシングモードを終息させたばかりの広坂がいきなりベストなコンディションでレースに臨めないのではないか?という老婆心。第三に完成したばかりのへヴィーデューティーなコースコンディションと直前に判明した悪天候の兆し。これらすべてを総括して、広坂が決して万全の体制でレースに臨んでいるとは考えられなかったのだ。もちろん、これは個人的な見解でしかなかったが、奇しくもその不安は8位という結果によって的中してしまったといえる。
「事前練習の結果自体は悪くなかったですね。走り込み中心の練習でしたが、悪天候で2回に1回しか走れない状況でしたので、ちゃんとした練習やデータとりはできませんでしたが、それなりに走れていたとは思います。マシンは大きく変えた部分はなく、逆にこれからどう変えていくかを模索していた状態でしたね」
広坂は今回のレースを境にマシンのリアセクションを下げてフルフラット化していた。それについてはどうなのか?
「セットを変えてもコントロールタイヤになった時に、それがどう反映されるか?もわかりませんでしたし、路面状況によっても変わる部分ですから、セッティングの途中でレース自体が終わったという感じでしたね」
そして、チーム体制という面でも、やはり100%の体制ではなかったことを広坂は教えてくれた。
「チームヨコモとしても、完全にイタリアのツーリングに的を絞って活動していたので、今回の全日本はまったく準備ができていなかった。イタリアが終わってそういえばオフロードもあったね。という感じで準備を始めましたので….。チーム自体が今年はツーリング、来年はオフロード(世界戦)というとらえ方でしたから、まだ完全にオフロードのモードになっていなかった部分もありますね」
そして8位という今回の結果に関しても、広坂はなにひとつネガティブにとらえてはいない。その理由は、目標はあくまでも世界戦であって、今回の全日本ではないということにある。
「アメリカのオフロード専門の選手がのり込んでくれば、とてもかなう相手ではないと思います。だから彼らを相手に僕らが上位争いをするためには1年間みっちりと準備を進める必要があるだろうな、ということは予測しています。本戦になって、モーターが回らない、マシンのセットが合っていない、などと慌てても、もうどうしようもない。準備期間のうちにそうした問題点をどれだけ明確にし、いかに解消しておけるか?が重要です。そう考えれば、もうスターティンググリッドについた時点で勝敗は決まっているといっても言いすぎじゃない」
あくまで目標は世界戦。そんな最上段の目標をおいて行った今回の全日本を広坂はどう自己分析するのだろうか?
「コントロールプラクティスではビリーが1位、僕が2位というまずまずの滑り出しだったんです。でも、この時点で今回のピークが出てしまっていたんでしょう。そこから先はミスが頻発しましたね。タイムを上げようとするほどミスしてしまう。体自体が一年かけてトレーニングしたツーリングの体になっていて、オフロードの体にするには少し時間が足りない状態でしたね。同じコーナーで同じミスを連発するなど、もう自分に流れを引き戻すことはできない状態でした。今回は5分のヒートで10回もミスすることがあって、これは僕の経験上でも全日本では初めてのことです」
イタリアのツーリング世界戦で完全燃焼してきたが、今回のオフロード全日本に向けて再度エンジンをかけようとしたが、かからなかった。そんな状態だったのだと広坂はつけ加えた。そしてレースそのものは悪天候により4WDクラス決勝を行わずして勝敗が決定された。
「予選でふるわず、決勝を走れなかったということは、一見、不運にみえると思います。けれど、僕自身は雨で決勝が行われなかったことは不運だと思っていません。なぜなら、8番グリッドという位置から決勝を戦った経験がない僕が、混戦を抜け出して順位を上げることができたか? と問われれば、それはどうなったかわかりません。もし、さらに順位を落とす結果になっていれば、完膚なきまでに打ちのめされ、その後のメンタリティに大きな影響を与えたと思うんです。コントロールプラクティスでピークを出しきり、その後はリズムが狂っていく状態だった僕が、いい結果を出すことは難しかった。そう考えれば、トドメを刺される直前でレースが終わってくれた、というとらえ方もできるわけです」
一度レースが流れはじめると、そのカレント(流れ)を変えるのは非常に困難だという。そしてそれを変えることができるのは実力でしかなく、ときに運をも味方につけなければ勝利を得ることは難しい。広坂ほどの実力をもってしても、レースの魔物を制することは容易なことではないのかもしれない
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