2006年4月3日(月曜日)

EXTREME OFF ROAD CHAMPS

カテゴリー: - T2K @ 23時48分13秒

以下は、RCワールド4月号「アラウンドザワールドVol.77」に掲載したものです。

<2005 Off Road Winter Championship and 2006 Extreme Off Road Champ>

オフロードファン待望のレースイベント

2005年度12月4日、オフロードファンが待ちに待っていたイベント、オフロード・ウインターチャンプが、谷田部アリーナで開催された。より多くの参加者を集めたいとの趣旨により、2WD、4WD、トラックだけでなく、スモールサイズやストック、旧車のみのヴィンテージや、Hiジャンプまで、計7種目ものクラスで行なわれた。アメリカのクラブレースなどでは、様々な種目で複数のクラスを設けて開催することが多く、人気を博しているが、今回のイベントが大勢のエントリーを集めたのも、こうしたアメリカンで楽しむことを重視した内容が集客の秘訣といえるのかもしれない。
事前エントリーではさほど人数が集まっていない感じであったが、当日はやっとの思いでピットスペースを確保できるというほどに人が集まってきたのである。オフロードファンにとっては待ちに待ったイベントだったのかも知れない。

総勢227名の参加!思いがけないビッグイベント!?

6時30分のゲートオープンと同時にサーキット入りし、早速準備に取り掛かった。普段経験しているレースにありがちなピリピリした雰囲気は感じず、会場入りした瞬間から穏やかで純粋に楽しみに来ている人達が多かったように思えた。チームメイトの木村、河島、松倉、各選手と顔あわせをし、メカニックの細田氏と、モーター担当の北川氏と軽く打ち合わせをした後、約6パックほどの練習走行を済ませた。
ゲートオープンしてから2時間30分が経過した午前9時、そろそろ始まるころにもかかわらず、一向にアナウンスも入らなければ、ドライバーズミーティングが始まる気配もない。しかも組み合わせ表すらも発表されていない。心配になって様子を伺ってみると、何と当日になってエントリーが次から次へと増え、パソコンへの打ち込みが終わらず、コントロールタワーはパニック状態に陥っていたのである。さすがにこれではレースを始めることが出来ないため、私自身もパソコンへの打ち込みの手伝いをし始めた。事前エントリーは約100名、しかし当日エントリーはさらに100名を超え、総勢227名もの特大イベント。開会式が始まったのが10時になってしまった。
さて、我々がこのイベントに参加した目的は、近日発売するヨコモの4WDプロトタイプマシンの最終テストと、その走りを大勢に見てもらうことからであった。しかも国内トップレベルのそうそうたるドライバー達の参加があったため、さながら全日本選手権なみの注目度を集めることとなり、ニューマシンを披露する意味でも絶好の機会となったばかりか、様々な角度から多くの楽しみ方の出来るレースとなった。

気になるヨコモ渾身の4WDマシンは?

ではここで、我々が持ち込んだ4WDオフロードカーの紹介をさせていただこう。プロダクション仕様の詳細は、本誌今月号(4月号)の特集記事をご覧頂くとして、ここでは主な特徴をご説明しましょう。まずこのマシンの名前は「MR-4BX」、通称BXと呼んでいただくと良いだろう。昨年7月に行なわれたオフロード全日本選手権では、試作第1号でデビュー・トゥ・ウィンを果たし、その直後の8月に行なわれた世界選手権には、5台投入した内の3台がベスト10入り、そして準優勝したマシンである。その後、約半年間に渡っての改良を加え、妥協なしのハイエンドモデルとなっていよいよ世に送り出すまでに至った。
シャシーレイアウトは、モーターをセンターにして、バッテリーを後方に置く、振り分けバッテリー専用の配置。メンテナンス性の良さには、ハイエンドツーリングカー・ヨコモMR-4TC・BDのノウハウも多数盛り込んでいる。バルクヘッドの上下分割や、3分割式のダンパー、Iアームを取り外すことなくデフの調整ができる機構も備えている。
特に4WDで課題であった耐久性を重要視し、完全新設計となるサスアーム他の各樹脂パーツには、強度を上げた新素材を採用、フロントに5mm、リアに6mmのワイドベルトや、ダブルパッドのスリッパークラッチを標準装備。更にエキセントリック(偏心)テンショナーは、ベルトをより良い状態に保てるよう延び具合を細かく調整できる仕組みである。また、ツーリングカーより一回り小さい6角タイプのホイルハブを標準装備し、それに合わせた前後の新型ホイルを一本ずつのナットで取り付けるスマートな設計。オプションで発売予定の3点式ホイルハブを使えば、旧型となるMR-4BCのホイルを取り付けることも可能となる。更に6角ホイルハブを取り外すことで、プロラインやロッシから販売されている2WD用のリアホイルも使用出来るのである。これにより今度は、2WDにBXキット標準の6角ハブを使用することで、アソシやロッシにヨコモのホイルを取り付けることも可能となるのである。このようにタイヤ&ホイルの汎用性の高さはオフロードカーにとって重要な要素だといえるであろう。
バルクヘッドは、アルミ削り出し、リアハブも新設計ミリサイズベアリングを使うアルミ製、サスマウントもアルミ製となっている。また、センターシャフトの片側には、スリッパークラッチ調整用ナット、そしてもう一方には、ワンウェイの聞き具合を調整出来るナットが付いている点である。センターワンウェイの利きを変えることで、曲がり具合を変える事が可能となる。
では、4WDクラスに参加したときの様子をレポートしよう。
BXはハイスピード時にも安定感を損ないにくい、パワーオンとオフ時での挙動変化の少ないバランスの取れたマシンである。10ターンのモーターと、X3800IBヨコモピークマッチドバッテリーの、とてもハイパワーな仕様でも、実に安定した走りを披露していた。モーターとバッテリーのパワーを優先すると、路面グリップの低下と共に、直進安定性の低下とコーナー出口での巻き込み症状が出やすい。今回はフロント駆動にワンウェイを使っていたが、このような症状が出る場合には、フロント部にデフを使用するといい。ちなみにキットではフロントデフが標準装備となる。
予選第1ラウンドでは、圧倒的な速さで5分間を走りきったものの、トランスポンダーの接触が悪く、ノーカウント。第2ラウンドでは、木村選手と1位2位のタイムでフロントグリッドを獲得した。ちなみにフロントワンウェイはコーナーリングスピードに優れ、路面グリップの高い時やギャップの少ない時には有利、グリップの低い時やギャップの多い時には、フロントデフがお勧めである。
広坂のBXは、唯一16周に突入したが、その大きな手助けとなったのが、世界選手権で大活躍した、ヨコモ・ごくらくオフロードウイングであった。ストレートタイプとラウンドタイプの2種類があり、2WDにはストレートタイプ、4WDにはラウンドタイプを使うことが多い。世界選手権でも上位3名が使用した実績を持ち、ハイパワーモーター使用時でも、リアの暴れだしを抑えてくれるのである。
さて、決勝では予選2位のチームメイト・木村選手との一騎打ちとなる。1周目より勢い良く飛びだした2台は、後続車をじわりじわりと引き離す。木村選手は一見速そうに見えないドライビングスタイルを持つが、一緒に走ると、その無駄の無い、そしてとてつもない速さを肌で感じ取ることが出来る。予選においては木村選手とはラップタイムでのアドバンテージもあったが、トップスタートした私のミスを突いてレースをリードする。同じマシンでほぼ同じセッティングを施しただけに、通るラインも近く、追い抜くスペースは極めて少ない。無理に追い抜くか、ミスを待つしかない状況であった。勝負を決めたのは、レース中盤でのヘアピンカーブであった。木村選手をパスした広坂がトップゴールしたものの、どちらが勝つかわからないほどの接戦を演じ、会場を沸かせた。そして表彰式が終了したのは、何と夜の9時を過ぎていた。こうして長い一日が盛大に終了した。

バギー人気再燃か?200名超の熱気が谷田部に!

ウインターチャンプから約2ヵ月後に、エキストリーム・オフロードチャンプが、ほぼ同じ内容で開催された。驚いたことに参加者が前回同様の200名を越えた。どうやらオフロードの人気は本物のようである。注目を集めたBXも、多くの人から「発売が待ち遠しいです」「買いますから」などの声をかけていただいた。メーカーとして、とても嬉しくありがたい瞬間である。
広坂は今回も4WDクラスのみに参加。バッテリーは、新発売のX4200IBを使用。このバッテリーのパワーは強烈のひと言で、4WDでウイリーするほどに圧倒的であった。エキストリームでTQ争いしたのは、チーム京商の野口選手。2秒差で広坂がTQをゲット、決勝では2番手からスタートした野口選手のマシンが、1周目に謎の転倒で後退してしまい、広坂がそのままトップゴールした。
200名以上が1日楽しめるオフロードレース。是非次回は読者の皆さんも参加してみてください!また、谷田部アリーナ以外でもこのようなイベントを開催し、より多くのオフロードファンを楽しめればいいと思っている。
なお、この2つのレースの模様は、ヨコモからリリースされているDVDでご覧いただけます。興味のある人は是非!


Hiジャンプクラスを制したのは、BMXの日本チャンピオン・鶴田絢史選手の14メートルオーバーだった。


スモールクラスは1周レースの勝ち抜き戦。これが結構盛り上がる!


ヴィンテージクラスは、80年代のマシンのみで競われるクラス。
懐かしいマシンを多く見た。コンクールドエレガンス賞もあった。


ウインターチャンピオンシップは時計回り、EXTREME CHAMPは反時計回りで行われた。


4WDクラスの決勝メンバー


4WDクラス優勝を決めた、広坂正美のMR-4BX


2WD全日本チャンピオンの木村心哉選手のマシン(前)


広坂のBXのシャーシ


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